のんのんばあとオレ

のんのんばあとオレ (講談社漫画文庫)

のんのんばあとオレ (講談社漫画文庫)

 

水木しげる少年が「のんのんばあ」と過ごした日々を描いた回想録。

2007年にフランスで開催された「第34回アングレーム国際漫画祭」で最優秀作品賞を取ったらしい。

なるほど、こりゃ取るわ。

 

日本以外は全部「外国」の俺には、フランスってどんな国かわからんが、アメリカみたいに「これぞエンターテインメントでござい」みたいなドヤ感は強くないように思う。

善かれ悪しかれ、200年国家とは歴史が違うのだよ、200年国家とは。

フランスには儚さを愛でる「侘び寂び」的なものがあるように思う。

知らんから勝手に妄想してるけど。

そう思ったのは「クリクリのいた夏」というフランス映画を観て。

この映画を端的に表すキーワードは「叙情」、「郷愁」。

この素朴さはハリウッドにはない。

俺の勉強不足もあるが、誰か「クリ夏」っぽい雰囲気のアメリカ映画があったら教えてくれ。

そしてこの「のんのんばあとオレ」も、実に朴訥に叙情と郷愁を描き出している。

フランスが持つ侘び寂びの琴線に共鳴しそうな感じはする。

 

以下、本書から気になった部分を引用メモ。

 

「シャレを愛する心が文化」

「バラの花は他の名で呼んでもいい匂いがする。

ライオンを他の名で呼んでも勇敢さに変わりはない。」

「男にとって女は教師だよ。

学校なんかじゃ教われないいろんなことを教えてくれる。

学校なんかやめてもええが

女に恋することをやめたらあかん」

(しげる父)

 

「おまえはなぜ村木家に生まれたか。

すべてのものが運命に定められた存在なのだ。

長い時が理解を深めるとは限らない。

一瞬は永遠であり永遠は一瞬である。」

(小豆はかり)